むし歯は、私たちの身近にある病気の一つです。進行すると痛みをともない、徐々に歯を失ってしまいます。
むし歯を引き起こす菌にストレプトコッカス・ミュータンス菌があります。そのむし歯菌は、食事をした際の特に糖質から酸を作り出してしまうのです。
その酸が増えることで、お口の中のpH(ペーハー)が酸性に傾き、歯の表面のエナメル質(えなめるしつ)を溶かしはじめます。これを脱灰(だっかい)と言います。
歯の構造
脱灰が続くと歯が溶け続けむし歯になり、象牙質(ぞうげしつ)まで達すると多くの場合、痛みが出てくるのです。
しかし、むし歯菌は糖分がないと歯を溶かす原因である酸を作ることができません。つまり、その糖分をコントロールすることでむし歯は予防できるのです。
下図はステファンカーブといい、糖分を口に含んだ時の口の中のpH変化をグラフにしたものです。
ステファンカーブ
1.食事や間食、糖分を含む飲み物を口にすると急激にpHが下がり、口の中は酸性になります。
2.糖分が口の中にある限りむし歯菌は酸を出し、歯のエナメル質は脱灰し続けます。
3.食事を終えるとだ液の作用で徐々に中性に戻ります。それを助けるために歯磨きが大切です。
だ液は口の中を中性に戻すだけでなく、脱灰したエナメル質に失ったミネラルなどを運び修復します。これを再石灰化(さいせっかいか)といいます。
それでは理想的な食生活と、むし歯になりやすい間食が多い食生活を比較してみましょう。
口の中が正常(中性)である時間が、酸性である時間よりも長ければむし歯になりにくいのですね。
そして食後は出来るだけ早く歯を磨くことで再石灰化を助けてあげましょう。磨けないときは水などでお口をゆすぐだけでもむし歯予防になりますよ。
次のページではむし歯の進行段階についてご説明します。